読書は一人でするもの、そんなイメージが一般的かも知れません。
読書をしながら
「相手に自分を知ってもらう」
「相手のことを知る」
ということはできるのでしょうか。
これは、夫婦がお互いを理解するために本を勧めあった格闘の軌跡である。
本文より
今回ご紹介する本は、作家の夫婦が相互理解を目的として読書リレーに挑戦した軌跡を綴った一冊です。
本の概要
お互いで本を紹介し、読んだらその本のエッセイを書いて次の本を指定する、という作家夫婦の相互理解のための企画。
基本のルールは次の通りです。
・相手に読ませたい本(課題図書)を指定する
・指定された課題図書についてのエッセイを書き、次の課題図書を指定する
・これを繰り返す
タイトルは過激ですが、お互いの想いと夫婦模様が伝わる内容で、とにかくいろんな本が出てきて面白い。
本で相互理解は可能か
あとがきでは「相互理解は深まらなかった」とあるのですが、実際に読んだ感想としては「そんなことはないのでは」でした。
お互いで本のレビューをしながらエッセイを綴っているのですが、その中でそれぞれの考えや相手への想いを感じ取ることができました。
自分の知っている本を相手に読んでもらい、相手の感じ方や受け止め方をすることは、やはり相互理解へと通ずるものがあるようです。
しかし、夫婦どちらも作家さんということで、本当にいろんな本を知っていらっしゃいますね。
小説だけでなく、ダイエット本やノウハウ本、ドキュメンタリーもの、マンガ、果てはVOW(しかも大阪ネタ限定バージョン)と、大変バラエティに富んでいます。
そして、選び方も非常にユニークです。
夫が「表紙が怖い本が苦手である」ということを知り、そこであえて「自分が知る限り最も怖い表紙の本を選ぶ」あたり、挑戦的です。
で、そこで選ぶ本がスティーブン・キングの「クージョ」という狂犬病の犬が襲ってくる話、という。。。(表紙はGoogleで検索したらすぐ出てきます)
あと、エッセイも読んでいてとにかく面白い。
「あはは」と声に出して笑いながら楽しく読みました。
いつか自分もやってみたい!
昔の日本で、お互いで「短歌を詠む」という遊び(?)が流行った時がありました。
これは、非常に難易度が高く、極めて知的な遊びだと思います。私は理系だったので、余計にそう思うのかも知れません。
今回の本のように、お互いで本をバトンに相手とリレーをするのも、これに通ずるところがあるように感じました。
歌を詠むのは、言葉を選ぶセンスが必要だったり、「5.7.5.7.7」のように決まった文字数の枠の中でいかに表現したいことを込めるか、というような要素があって非常に難易度が高いと感じるのですが、読んだ本のレビューを含めたエッセイを自由に書く、というのは、即興で歌を詠むことに比べたらまだ幾分かハードルが低いようにも思います。
できることなら、いつか自分もやってみたい。
読書会では自分が読んだ本を紹介して、相手からのフィードバックをもらう、ということをします。これもとても得るものが多いのですが、自分が相手に本で欲しい本を選んで、それを読んだ本の感想をもらう、というのも面白そうです。
しかし、「面白くなかった」的な感想が返ってくることも十分にあり得るので、これはお互いの信頼関係が相当に高い状態でないと、難しいかも知れませんね。
信頼関係がない状態で変にやってしまうと、相互理解どころか絶交されてしまうリスクもありそうです。
そして相手に本を進めるのには、ある程度の読書ストックがないと厳しい。著名な本だけでは相手もすでに読んでいる可能性もあります。
実際にやってみるには、いくつか条件をクリアする必要がありそうですね。
今私は300冊の読書を目標に本を読み続けていますが、300冊読み終わる頃にはそんな遊びも楽しめる様になっていたらいいな、そんなことを思いました。
以上です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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