聞けば誰でも知っているような名著と言われる古典があります。
でも、なんとなく知っているけれど内容は詳しくは知らない、ということも多いのではないでしょうか。
例えば、下の例題2つをみてみましょう。
例題1:ある物語に出てくる有名なセリフ。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」
このセリフは、どんなストーリーのどんな場面で発せられたか、そしてこの言葉の意味するところが何か、ご存知でしょうか。
例題2:世界的に有名な、とある怪人。
<引用元:Wikipedia 詳細は後述の正解欄にて>
この怪人の名前、ご存知でしょうか。
では早速、正解を見てみましょう。
例題1の正解:
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」
これはシェイクスピアの最高峰作の1つ「ハムレット」の中で出てくるセリフです。
主人公のハムレットが、父親が毒殺されたと父親の亡霊から告げられ、父を殺したと思われる相手に対して復讐するかどうか迷っている場面で登場します。
ハムレットで描かれているのは、優柔不断な主人公の復讐劇ではなく、理性と情念の間で揺れ動き翻弄される人間の姿です。そしてそれは、現代の私たちも同様に抱えている、人間の大きな課題です。この有名なセリフには、それが凝縮されています。
例題2:
この怪人、実は名前は無いのです。
※先ほどの画像は「フランケンシュタイン」のWikipediaサイトより引用させていただきました
ちょっと意地悪な質問でしたね、ごめんなさい。
「あれ、フランケンシュタインじゃ無いの?」
そう思われた方、いらっしゃいませんか。
実は私もこの本を読むまで、そう信じて疑っていませんでした。
フランケンシュタインというのは、実はこの怪人をつくった博士の名前です。原作の怪物には名前はつけられていません。また、この怪人に対して暴力的なイメージを持っているかもしれませんが、原作の怪人は人の言葉を話し、ゲーテやミルトンなどの著書を愛読し、人間のすばらしさや愚かさについて深く考察することのできる、極めて高い知性を持っています。
でも映画やマンガなどの影響で、原作とは違ったイメージで誤解されがちなんだそうです。
本の要約
この本はNHKのテレビ番組「100分DE名著」の制作班により監修されています。
100分DE名著:一度は読みたいと思いながらもなかなか手に取ることができなかったり、読んでいてもその難解さゆえに途中で挫折してしまったり、、という古今東西の名著を取り上げ、その魅力を25分×4回=100分で紹介する番組です。
こちらの本は、この番組のコンセプトに沿って、世界の名著の読みどころを10ページ程度のマンガと解説文で「調理」されています。
なぜ「調理」かというと、ただ名著の内容を切り取って紹介するのではなく、読みにくいとされる古典をわかりやすく、読みやすくまとめているためです。
また解説だけにとどまらず、時代背景や作者のことも紹介しながら、「なぜ読むべきなのか」、「現代の私たちにとって役立つ視点」についても提案されています。
掲載されている名著
本書では4つのテーマに分けて、合計12の作品が紹介されています。
人類必読のストーリー
「ハムレット」シェイクスピア
生きるべきか、死ぬべきか。理性と情念のはざまで
「罪と罰」ドストエフスキー
正義とは何か?殺人は許されうるのか?巨編が問う、自分の壁
「星の王子さま」サン・テグジュペリ
大人になって、忘れてきた大切な何か
対人関係に悩んだときに
「赤毛のアン」モンゴメリ
与えられた条件で懸命に生きる
「獄中からの手紙」ガンディー
自分の「欲望」から自由になり、対立を超えていけ
「人生の意味の心理学」アドラー
未来は今この瞬間から変えていける
いかに生きるか(人生論)
「幸福論」アラン
人生とは意志の力で楽観的に変えられるもの
「夜と霧」フランクル
極限状態で見出した「人間の生きる意味」
「ソラリス」スタニスワフ・レム
人間の理解を超えた未知を描く傑作SF小説
社会とどう向き合うか
「フランケンシュタイン」メアリ・シェリー
暴走する科学、人間の傲慢に警鐘を鳴らす
「エミール」ルソー
自分軸と社会軸を築く、近代教育学のバイブル
「永遠平和のために」カント
著者が挑んだ、人類平和への大提言
<本書の目次より引用>
私も、名前は知っているけど実際に本を読んだことはない、というものばかりでした。
古典名著に触れる意味
この本を読んで、「あぁ、あの話はそういう意味だったか」だったり、「そんな内容だとは知らなかった」等の色々な感想を持たれるのでは無いかなと思います。
「古典はなんとなくハードルが高い」、そう考える方も多いと思いますが、もしも「どんな内容か興味はある」という方は、ぜひ本書を手にとってみてください。
「古典を理解することは、人間を理解すること」と本書に書かれています。
理解するというのは、必ずしも読破することでは無いはずです。
本書には、今までとは違う切り口で「美味しく調理」された古典が光っています。
是非、その高い栄養価と味わいを楽しんでみてください。
以上です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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